金閣寺茶室造営で知られる心傳庵・木下棟梁が、
奈良から神奈川へ、チタン屋根とともに茶室を移築
チタン建材のリサイクル性を実証し、
「200年建築」の可能性が示唆されました
2006年5月10日

 このほど、奈良の個人邸別荘から神奈川県伊勢原市の関泉寺へ、茶室をそのチタン屋根ごと移築するという工事が行われ、無事竣工なりました。

 茶室の屋根は一文字葺き・瓦棒。移築にあたっては、オリジナルで使用されていたチタン屋根材が100%再使用され、チタンのすぐれたリサイクル性が、改めて実証されました。

 移築工事を指揮したのは、金閣寺茶室(常足亭)の造営でも知られる数寄屋研究所・心傳庵の木下孝一棟梁。
 同茶室は、木下棟梁の最初のお茶の師匠(表千家)であったという大原冨紗子氏(毎日新聞記者、女性ジャーナリストの草分け的存在)のために、木下棟梁が平井工務店の責任者として、約40年前に大阪府枚方市にて建造したもの。大原氏の没後、令嬢の依頼により、裏千家茶人が所有する奈良の別荘にいったん移築され、その際、屋根が瓦からチタンに葺き替えられました。

 今回の移築工事は、その茶室を奈良からはるか神奈川へと再移築し、しかも、通常の金属屋根材なら経年後の再使用は不可能とされる中、チタン屋根材のリサイクル性を実際に確認するという意欲的な取り組みです。
 木下棟梁ならではのすぐれた技術と、材料に関する造詣の深さによってこそ成し遂げられたものといえますが、当初の意図通りオリジナルのチタン屋根材が100%再使用できたことは、今後の屋根材の使用において一石を投じるものとなりました。

「関泉寺のご住職は東大教授を勤められた方で、ご長男の副住職は武者小路千家若宗匠(千宗屋氏)の弟子となられた茶人。ご住職に求められて移築することとなったが、それによりこの茶室は、表、裏、武者小路とお茶の三千家で使い継がれることになる。今度はお寺さんということもあり、このまま200年は使って頂けるのではないかと思う」と、木下棟梁は語っています。




 
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