平安時代創建の海辺の名刹・萬福寺が
現代のハイテク素材・緑青チタンの屋根材で再建
2005年8月23日

 2005年末の完成をめざし、本堂新築工事が行われている萬福寺(千葉県鴨川市、奈良康信住職)に、新日鐵の緑青チタン屋根が採用され、鋭意施工が進行中です。

 萬福寺は、鴨川シーワールドに近く、太平洋までわずか数十メートルという立地のため、海水を直接かぶり、また、塩分を含んだ海風の影響により、銅板はもとより瓦ですら浸食されるという厳しい条件下にあります。

 そのため本堂新築にあたっては、さまざまな屋根材が慎重に吟味されましたが、その中でも耐腐食性で群を抜き、海洋建築物でも豊富な実績のある新日鐵製チタンが採用されることとなりました。

 また、緑豊かな愛宕山を背景とすることから、景観にとけ込み落ち着いた風情を醸す「緑青色」が選ばれました。この緑青色は、新日鐵独自の発色技術により、銅板屋根に経年で自然に形成される緑青と同様の色調・質感をもたせたチタン屋根材です。

 チタンの採用により、屋根の恒久的な寿命が期待されるともに、瓦と比べ大幅な軽量化が図れるため、地震に対しても格段の安全性が確保できます。

 萬福寺は平安時代の創建と伝わる天台宗の名刹。一方、チタンは宇宙開発にも使用されるハイテク素材。このたびの本堂新築は、由緒ある寺院が時代の最先端素材で再建された例として注目を集めています。

 本堂の設計施工は、陸前大工・陸前彫で名高い株式会社大場くるまや、屋根の施工には名工・大川技能工芸があたっています。


 
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