兵庫県加西市の寶泉寺庫裏の屋根を、
チタン平瓦で葺き替え。
2009年11月4日

兵庫県加西市の寶泉寺で、庫裏の屋根の改修工事が竣工。従来のトタン屋根が、西日本では初となるチタン平瓦で葺き替えられました。

寶泉寺の歴史は古く、現在の庫裏も築後約200年を数えます。以前は藁葺きだったとのことですが、昭和30年代の末にトタン葺きに替えられ、以後、定期的に塗り直し等のメンテナンスを行いながら使い続けてこられました。
しかし、葺き替え後40年以上を経て、素地自体が耐用年数を迎え、これ以上塗り替えもきかなくなったということから、屋根の改修を検討され、屋根材を研究されました。

元々が藁葺きだったことから、あまり重量のある素材は使用できないという制約がある中、お寺らしい屋根にということで、瓦型のソーラーや銅板などが候補に上がったようですが、ちょうどそういう時期にカナメ神戸営業所からチタン屋根の提案を受けられました。

そして、チタンでもお寺らしい瓦タイプの屋根が可能であるということ、アルミナブラスト仕上げの質感がまるでいぶし瓦と変わらないということから、チタン平瓦での葺き替えをご決断されました。
また、トタン屋根だった時代に、定期的に塗り替えのご苦労をされていたことから、チタンならほぼメンテナンスフリーで、予算的にも後々楽になるのではないかというのも、大きな決め手となったとのことです。

「うちは5年に1回とか塗り替えをしなくてはいけなかった。だから、こんなにも塗り替えをしなくていい屋根はないのか、という思いがありました。
 建物にとって屋根はいちばん大切です。たとえば木の大切な部分は根っ子です。木が立っているためにも、栄養分を吸い上げるためにも、根はとても大切です。屋根は、屋の根と書きます。まさに屋の根っ子。それほどに大切なんです」(談)

実は、葺き替えの話が持ち上がる以前の段階で、庫裏の建物自体、建ってから200年近く経っているため、根本からやり替えなければならないという話もあったとのことですが、それを踏み止まらせたのは、その200年という歴史の重みだったといいます。

「天井を外せば、昔ながらの立派な木が使われています。どうしようもないのなら潰さなくてはならないけれど、せっかく200年も伝え継がれた建物ですから、直すべきところは直して、また200年くらいはもたせていきたい。そのためにはまず雨漏りを防がなくてはいけない。そのように考えればチタンしかない、という気持ちで、檀家さんにも一生懸命説明をさせていただきました」(談)

ご住職の熱意に檀家さんたちもご納得。できあがった屋根をご覧になり、「こんなにいいものになるとは思わなかった」と、お喜びになっているとのことです。



チタンでリフレッシュされた寶泉寺庫裏全景

■物件データ

寶泉寺庫裏屋根改修工事
・施主:寶泉寺
・建設・施工会社:株式会社カナメ神戸営業所
・使用材料:アルミナブラスト(AD03)板厚0.4ミリ
・施工面積:約290平方メートル
・形状:チタン平瓦葺(カナメルーフ)

せっかく直すのだったらお寺らしい屋根にというのが施主様のご要望。大屋根には上品な反りがいれられました(下は改修前)


玄関の破風や腰葺きは、以前から使用されていた瓦のままですが、チタン平瓦と組み合わせても、何ら違和感がありません




チタン平瓦を使った箕甲、チタンの溶接で製作した鬼など、可能な限りチタンが使用されました


 
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