「お寺のチタン屋根」が、2003年度グッドデザイン賞を受賞 2003年10月21日

 数寄屋研究所心傳庵・木下孝一棟梁(京都府京田辺市)、光悦寺・山下智昭住職(京都市北区)と新日本製鐵株式会社が共同で出品した「お寺のチタン屋根」が、2003年度「グッドデザイン賞」(財団法人日本産業デザイン振興会主催)を受賞しました。

 神社仏閣などの木造建築物では屋根がいちばん早く腐り、1度雨漏りすると建物の寿命は100年縮むと言われています。寿命が長いとされる「銅葺き屋根」も、近年は酸性雨や瓦の釉薬などの影響で寿命が十数年まで短くなるなどのケースも報告されています。

 こうした中、山下住職はお寺を長く後世に残すため耐蝕性能にすぐれたチタンの採用を決断、木下棟梁は「お寺の屋根」として要求される機能を満たすため、宇宙・医療など最先端分野で使用されるチタンを「現代最高の屋根材」として提案。それを受けた新日鐵では、お寺の屋根材としての「加工性」、「いぶし瓦に似た風合い」等の厳しい要求を1つ1つクリアしていきました。
 今回の受賞は、これら3者の緊密な連携により光悦寺で実現された、「お寺を守るチタン屋根のコンセプト」が、新領域デザインとして評価されたものです。

 これまでもチタン屋根は、一休寺(京都府)をはじめとする多くの神社仏閣で採用され、最近では金閣寺の茶室に採用されるなど、日本の伝統建築の世界でも認知されつつあります。

 伝統的な屋根材である柿(こけら)、檜皮(ひわだ)、瓦、銅も、それらが初めて採用された時代には、「その時代の最良の素材」でありました。和風美との調和を実現した新日鐵チタンは、木下棟梁の言葉の通り「現代における最高の素材」と呼ぶことができます。今回の受賞は、チタン建材の適用拡大の大きな契機になることと期待されます。

このレポートは、新日本製鐵株式会社の監修の下に作成しております
 
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