語る人;重石 邦彦氏
    日本鐵板(株)CSソリューション営業部 チタン営業室長
聞き手;益満 健之(『建材情報』編集次長)

カロス出版
http://www.kallos.co.jp
軽量で耐久性に富む金属屋根材は
民間建設投資の盛り上がりやスレート屋根改修などの需要を受け好調が続く。
中でも高耐久性で知られるチタン屋根材は
寺社仏閣・伝統建築から高級戸建て住宅に市場が拡大、急成長の予感が強い。
日本鐵板は昨年12月、同業他社に先駆けて「チタン営業室」を開設し、
チタン建材拡販のトップランナーとしての意欲を燃やす。
■同業他社に先駆けて「チタン営業室」
──日本鐵板は建築用薄板鋼板の大手流通と承知しています。その日本鐵板が昨年末、屋根材など建築用の拡販を目的に「チタン営業室」を開設したと伺います。

重石 昨年12月に開設しました。

──鋼板流通がチタン建材・屋根材の拡販を目的に専門のセクションを設けるのは初めてでは?

重石 チタン素材を製造・販売する会社は新日鐡、神戸製鋼、住友金属の3社があります。そして新日鐡はチタン事業部を、神戸製鋼はチタン本部を設置して、大きな需要分野である産業機器・輸送機器など向けの拡販に取り組んでいます。ただ、流通がチタン建材・屋根材の専門部署を設けるのは、恐らく当社が初めてだと思いますね。

──いま「チタン営業室」開設の理由は?

重石 当社は新日鐡・日新製鋼を株主とする建築用薄板鋼板の専門商社です。一方、屋根材を中心としたチタン建材についても、新日鐡から素材の供給を受けて需要開拓に努めてきました。チタン建材はこれまでも環境条件の厳しい物件、恒久的な使用を求められる大型物件などでは実績も多く、伝統建築でも金閣寺茶室造営などのプロジェクトでは評価を得てきました。

──なるほど。

重石 ところが、06年度に入ってマーケット構造に大きな変化が見られ始めました。

──変化というと?

重石 既存の大型プロジェクトや寺社仏閣市場だけでなく、裾野の広い高級戸建て住宅での採用がかなり増えてきた。これは私どもや素材・加工各社の地道な普及活動などによって、チタン建材のよさに対する認知度が高まり、採用が進んできたものと認識しています。これを機にプロフィットセンターとして「チタン営業室」を開設、更なる拡販を図ることにしました。

◆2006年施工物件の一例
 屋根だけでなく壁面にまで
 チタンを使った一般住宅
 (弊社施工記録より)

■チタン屋根需要の拡大に確かな手応え
──06年度に入って需要が増加したとのことですが?

重石 06年度はまだ終わっていないが、当社が関与した物件は50件、重量にして50トンを上回る見通しです。ともに大幅な増加で、チタン建材・屋根材は06年度においてテイクオフしたという確かな手応えを感じています。

──チタン建材・屋根材は今後期待してよい?

重石 いま一つ注目されるのは、メディアを通じた一般消費者・設計事務所など関係先からのアプローチも急増してきたことです。当社は「チタン建材ホームページ」を立ち上げているが、これらに対するヒット数が最近急激に増えています。私は06年度について「チタン建材について近い将来の飛躍の確信が得られた画期的な年」と位置付けています。

──チタン建材・屋根材の需要が確実に増加するとのことですが、07年度については?

重石 重量ベースで100トンに倍増する計画です。2〜3年後には200〜300トンに伸ばして行きたいですね。

──期待は大きい?

重石 「建材情報」によると、変動はあるもののステンレス屋根材の年間需要は約1万5,000トン、カラーアルミ屋根材は約1,000トン、銅屋根材は約1万トンとなっています。これら屋根材の約5%、1,300トン程度をチタン建材・屋根材に置き換えたい。