朝日放送テレビ『おはようコールABC』(2003年11月20日)

で、チタン屋根が紹介されました。
(放送の概要)

 身近なところでは、メガネのフレームやゴルフクラブに非常によく使われているチタン。航空機や宇宙開発にも利用されてきたところから、「未来の金属」というイメージが強いが、そんなチタンがお寺や神社などの屋根に使われ始めている。
 それはなぜかというと、意外な秘密があった。

 まずは、実際にチタンを使った建物がある京都府京田辺市の一休寺を訪れた。一休寺は一休禅師が晩年を過ごしたことで有名な寺である。

レポーター「パッと見た感じは、まわりの風景になじんで違和感がないが」
一休寺・田辺宗一住職「瓦みたいに使っているので違和感はないと思う。チタンの寿命は半永久的と言われている。(寺には)建物がたくさんあるので、維持ということを一番に考えると、1年でも長くもつ屋根ということで、チタンをお願いした」

 チタンのすぐれた点は強くて軽いこと。鉄と比較すると、強度は同等だが、重さはおよそ6割しかない。さらにもう1つ、プラチナにも匹敵するほど錆びにくいというのがチタンの大きな特長。しかしそのチタンが、どうしてお寺の屋根に使われることになったのだろうか?

(数寄屋大工の棟梁で、チタンをお寺の屋根に使い始めた第一人者である数寄屋研究所・心傳庵代表の木下孝一氏にインタビュー)

レポーター「チタンの利点を挙げるとすると」
木下氏「(チタンを使うと)修理が非常に減ってくる。(屋根を)修理するたびに建物が傷む。雨漏りを1回すると、古い建物だと百年寿命が縮むと言うくらい、ちょっと手を入れただけで建物の寿命が変わってくる。それだけでも、チタンにしておけば安心していられる」

 かつて80年はもつといわれていた銅の屋根が、最近では20年足らずで穴があいてしまうと気付いた木下氏。金属メーカーの新日本製鐵と共に調査を重ね、環境の悪化による酸性雨などが原因であることを突き止めた。
 そこで、より腐食に強い素材としてチタンの利用を共同で進めていくことになった。
 その結果、独自の技術による「いぶし瓦」に似た風合いをもつチタン素材も登場した。

レポーター「チタンという素材そのものに、ちょっと値段が高いというイメージがあるが」
木下氏「今は人件費が高いから、20年、30年ごとに修理をするとなると、足場を架けたり、素屋根を架けたり、そういう費用が恐ろしくかかる。長期で見たらチタンは絶対に安い」

 非常に便利なチタン。国宝や重要文化財に指定された建物でも、チタンによる修復が待ち望まれている。